適度な塩分摂取が感染症から身を守る!

新型コロナウイルスに感染して亡くなった方を見ると、肺だけでなく、脾臓や心臓、腎臓、脳などの器官に多臓器不全が見られたと報告されています。

 

臓器をウイルスから守っているのは血液中のミネラル成分です。塩分を控えた食事をしていると、ミネラルバランスが悪くなり、いろんな臓器の不調が起こります。

 

どうも減塩運動が盛んになった頃から感染症が増えたように思われます。ぜひ、適塩に努めてください。

 

減塩から適塩の時代に

 

 

減塩が原因で不調!体液は0.85%の塩水

 

 

高血圧などの生活習慣病の原因が塩であるかのようにマスコミで報道されてきたため、涙ぐましい努力をして「減塩」に取り組んでいる人がたくさんいます。ところが、減塩をして血圧が下がったという人を私は見たことがありません。それどころか、減塩を原因とする不調が起きているケースの方が圧倒的に多いようなのです。

 

 

 海水を煮詰めた自然の塩には、殺菌や防腐、保存、抗生といったバクテリアやウイルスから身を守る働きがあります。ですから減塩は感染症にかかりやすい体質をつくるという問題を引き起こします。体液は0.85%の塩水であり、これは涙や汗、鼻水、小水が塩気を含む事実からも明らかです。体液中の塩分が外から侵入する雑菌などを殺菌していてくれているわけです。

 

低体温は塩やミネラル不足 神経伝達の遅れも塩気が関係

 

 

 また、塩には保温という働きがあり、味噌汁で火傷した時の方がお湯で火傷した時よりも症状が重くなるのは、塩の蓄熱作用のためです。体液の中に塩気がしっかり効いていれば体温が上がるため、冷え症や手足の冷えを改善することができます。最近激増している低体温の子供たちは、体を冷やす作用のある白砂糖を含むジュースやお菓子類、菓子パンなどが好きですが、塩気などのミネラルが不足している傾向が見られます。

 

 

 さらに、塩には神経伝達という働きがあり、塩水に電気を通すと電気がよく流れる原理からもわかるように、体液中の塩分によって、脳の指令が末端の細胞までスムーズに伝達されるのです。ところが塩気が不足すると電気絶縁状態となり、神経伝達の遅れから事故やミス、怪我、物忘れといった状態が引き起こされやすくなります。近年激増している認知症や学習障害児の原因にも、この塩気不足が関係しています。

 

腸内環境や血液循環にも必須 ミネラルを含んだ海水塩

 

 

 自然塩の中に含まれるマグネシウムには発酵促進という働きがあります。味噌や醤油、漬け物、塩こうじといった発酵食品も、マグネシウムなどの微量ミネラルがなければよい発酵ができないのです。また、塩の防腐作用によって、日持ちもよくなります。人間のお腹の中にいる乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は発酵菌なので、塩の微量ミネラルが必要なのです。塩分不足は悪玉菌の増殖を招き、腸内環境を悪くすることになります。

 

 

 塩気を上手に補給すれば、心臓の収縮力を高めるため、血液循環がよくなります。そうなれば、肝臓や腎臓といった血液の浄化装置への血液供給量が増える結果、血液をネバさせていた老廃物がすみやかに浄化され、血液がキレイになります。そうして血行がよくなれば、血圧は下がるのです。ただし、精製された化学塩には血液を酸性化させるという問題があるので、あくまで自然塩(海水塩)を使った場合です。

 

減「塩」から減「ナトリウム」 控えるべきは添加物

 

 

 厚生労働省は「塩分を控えなさい」という表現から「ナトリウムを減らしなさい」という表現に変えました。実はナトリウムの摂取源の最たるものは塩ではなくグルタミン酸ナトリウム(化学調味料)です。ほとんどの加工食品に「アミノ酸」という表示で添加されている化学調味料のナトリウムにはさまざまな問題があります。また、ハムやウインナー、牛肉、辛子明太子などに発色剤として使われている亜硝酸ナトリウムにも毒性があります。ほとんどの添加物はナトリウム塩として摂取されるので、控えるべきは添加物なのです。

 

 

 点滴として使われているリンゲルとは、0.9%の生理的食塩水であり、重篤な病気の場合、術後数日は点滴だけで過ごします。その場合、一日に約3リットルのリンゲルを投与されるわけですが、一日に27グラムもの塩分が入ってくる計算になります。塩気が本当に悪いのであれば、点滴の塩分も6グラムくらいに減らすべきでしょう。でも、これくらいの塩気が入ると人間は元気になるのです。現代医学は塩を減らせといいながら、実際の医療現場では逆の事をしているのです。ですから、常識に惑わされることなく、悪者扱いされてきた塩の効能をもう一度見直してみましょう。

 

貨幣=サラリー=塩 美味しく適切に摂取を

 

 

 塩に変わるものは地球上にはなく、サラリーの語源がソルト(塩)であるように、昔は貨幣として使われていた時代もあったくらい塩は貴重品だったのです。根拠のない減塩運動を止めて、美味しいと感じる塩分濃度(約1%)の味付けで美味しく食事をいただきましょう。血圧を上げる本当の原因は、過度の肉食と白砂糖、乳製品、食品添加物の摂取による血液の汚れ(粘り)であることを知ってください。海水を煮詰めたり、天日に干したりした昔ながらの製法の自然なお塩を適切に接収していきましょう。

 

「むすび」誌(正食協会) 2013年9月号 連載記事 文 岡部賢二