発酵食品で感染症から身も守る!

伝統的な発酵食品には感染症を予防する強力な

パワーがあります。

 

口の中、のど、腸壁、皮膚といった上皮細胞には

乳酸菌などの常在菌が棲み付いていて、体外から侵入するウイルスやバクテリアなどから身体を守ってくれています。

 

ビタミンやミネラル、アミノ酸、食物繊維といった生理活性物質を豊富に含む発酵食品の摂取によって、常在菌を活性化し、感染症から身を守ることができます。

 

         

         発酵食品で感染症から身を守る

 

 

日本は草原や平野が広がるヨーロッパやアメリカと異なり、山の多い地形のため、山から流れてくる豊富な水が田畑を潤してきました。まさに「豊葦原の瑞穂の国」ですね。ところが反面、湿気の多さによって家や家具などがカビやすく、傷みやすい風土でもありました。この日本の風土を活かして生まれたのがカビを使ったバイオテクノロジーです。

 

 

 麹カビを使った食品には味噌や醤油、甘酒、お酢、日本酒などの発酵食品がありますが、これらは、高温多湿の日本の風土が醸し出した天然のバイオ食品と言ってもよいでしょう。有用微生物が作り出すアミノ酸やビタミン、免疫強化物質が体を養う栄養を提供するだけでなく、解毒発酵という浄化力も発揮してくれます。東京農業大学名誉教授、小泉武夫先生が、発酵食品の持つ解毒作用を「解毒発酵」というのだと述べておられます。

 

 

 たとえば、伝統製法で作られた味噌にはアルコールの酸化物である二日酔いの元(アセドアルデヒド)を分解する力があります。また、味噌に含まれるアミノ酸の一種のメチオニンにはタバコのニコチンやタールを解毒する働きがあり、ジピコリン酸には、内部被ばくを引き起こす放射性物質から腸壁を守る働きがあることが広島大学の研究で分かってきました。味噌汁を毎日飲む人には胃がんの方が少ないことも知られており、「味噌汁に医者いらず」という諺が本当であることを裏付けています。

 

 

 糠床に生息する乳酸菌も解毒力が抜群で、猛毒のフグの卵巣を糠床に3年間漬けておけば、毒が消え、珍味に変身します。伝統製法で作られた醤油には20種類以上のアミノ酸があり、お刺身などの生魚に付着するボツリヌス菌やサルモネラ菌を瞬時に殺菌してくれます。納豆に含まれる納豆キナーゼは病原性大腸菌O-157の殺菌に一番の効果を発揮することもわかってきました。

 

 

また、梅干しに至っては世界最強の副作用のない天然の抗生物質として働く事や、ビタミンやミネラル、アミノ酸を豊富に含む甘酒が飲む点滴となり、疲労回復薬として働くことも知られています。お酢に含まれるアミノ酸には食品の防腐や殺菌作用があるため、酢漬けにしたり、酢でしめたりして、食品の保存に一役かってきました。

 

 

私たちの腸内には細菌が生息しており、有用菌(善玉菌)が作り出すさまざまな免疫物質によって、人体が守られています。皮膚にも常在菌の乳酸菌が生息し、皮膚を弱酸性に保つことでバイ菌の侵入を防いでくれているのです。口の中には口内細菌が棲んでいて、口腔内を弱酸性に保ち、アルカリ腐敗を起こす虫歯菌や感染症を引き起こす菌による繁殖を防いでくれているのです。

 

 

したがって、こうした大事な体の常在菌が食品に含まれる殺菌剤や防腐剤などの化学物質によって弱ってしまうと、胃腸のトラブルや皮膚炎、虫歯、感染症の増加といった症状を引き起こします。その対策として、発酵食品の解毒作用を使って体の中の毒素を取り除き、体内微生物のバランスを元に戻すことが必要です。

 

ぜひ、この時期、みそ汁や漬物、梅干し、甘酒、納豆、塩麹といった発酵食品を上手に活用し、感染症から身を守りましょう。