感染症対策に梅干しの黒焼き

新型コロナウイルスに感染した場合、症状が出る人と出ない人に分かれます。その違いは免疫力の違いであるのは間違いないでしょう。その免疫力の強弱には、粘膜組織にいる常在菌のバランスが大きく影響します。

 

口内やのどの粘膜、腸壁に棲む乳酸菌などの有用常在菌の働きが弱ると、感染しやすい身体になるだけでなく、感染した場合、炎症反応がひどくなります。

 

弱った常在菌を活性化し、病原菌から身体を守ってくれるのが天然の副作用のない抗生物質として働くのが梅干しの黒焼きです。

 

梅干しや梅酢、梅醤番茶、梅肉エキスでも効かない病原菌であっても、梅干しの黒焼きなら効果があった事例があるので、試してみてください。

 

 

梅干しの黒焼きの効用

 

 

 

 

梅干しの効能を高めた梅干しの黒焼き

 

「梅干を食べていれば医者いらず」と言われるほど、昔ながらの製法で作られた梅干しにはさまざまな効能があります。その働きは強い抗菌作用だけでなく、クエン酸による食欲増進や疲労回復効果、血液を弱アルカリ性に保ち、血液をサラサラにする効果など、数え上げたらきりがありません。そんな梅干しを黒焼きにすると、その効果がさらに高まるだけでなく、それまでとは違った新たな働きが備わります。今回は、梅干しの黒焼きについて見ていきましょう。

 

作り方の手順とそのポイント

 

 

 梅干しの黒焼きの作り方は、素焼きのツボに梅干しを敷き詰め、こねた小麦粉を蓋と鍋本体の間に塗って密着状態となったところで、2時間くらいとろ火で焙煎していきます。空気が入ると酸化してしまうので、密封状態で蒸し焼きにしていくのが作り方のポイントです。炭焼きと同様に、無酸素状態で蒸し焼きにすることで還元作用が備わるのです。焙煎が終わったらすり鉢で微粉末になるまで摺って、細かなパウダー状にします。種は硬いまま残るので、これは取り除きます。湿気がこないように蓋つきのビンに入れれば出来上がりです。

 

悪玉菌の増殖を抑え、感染症の対策にも

 

 

 梅干しの黒焼きは天然の副作用のない抗生物質のような働きをします。梅干しでも梅酢でも梅肉エキスでも効かないようなしつこい感染症には、この黒焼きが役立ちます。海外でコレラ菌に感染し、梅醤番茶や梅酢ドリンクなどの手当てをしても下痢が止まらない、という方で、最後に梅干しの黒焼きを試したら良くなったという方がいました。黒焼きの面白いのは、悪玉菌は抑えるが、善玉菌は活性化するという選択機能が付いている点です。

 

 

これを用いれば、しつこいインフルエンザの菌や結核菌、病原性大腸菌などの感染症の対策にもなります。また、歯の治療の後はこの黒焼きをなめておけば、悪玉菌の増殖を抑えることができます。手術をした後や切り傷の時にも化膿菌の感染予防のためにも摂っておくとよいでしょう。

極陽性の性質で、中毒症状も中和

 

 

 カルシウムやマグネシウム、鉄といったアルカリのミネラルの宝庫である梅干しの黒焼きには蛇毒やハチ毒の中和作用もあります。噛まれた患部に直接塗ってもよいのですが、里芋湿布に黒焼きを少量まぜて患部に貼る方がより効果的です。以前、スズメバチに刺されて病院で治療したものの、痛みと腫れがおさまらないという方がいたので、黒焼きを少量服用してもらい、患部には黒焼き入りの里芋湿布を貼ってあげたら、一晩でよくなりました。夏場は、行楽先でそうした怪我が増える時期なので、外出するときには持ち歩くようにするとよいでしょう。

 

 

 陽性の梅干しに火と時間の陽性が加わった極陽性の梅干しの黒焼きには、陰性化した赤血球を陽性な本来の状態に戻す働きもあります。陽性が強い赤血球ほど、陰性な酸素を引きつける力が強くなります。火事の時に煙を吸い、赤血球に一酸化酸素が取りついて中毒症状を起こした時には梅干しの黒焼きを用いれば、赤血球から一酸化酸素が引き離され、酸素を運べる健全な状態に戻すことができると言われています。高山病や潜水病など、赤血球が弱った状態の時にぜひ活用してみてください。

 

血液もサラサラ健康に、いざという時の常備薬に

 

 

 また、梅干しの黒焼きには炭と同じようなマイナスイオンを放出する作用も期待できます。本来、赤血球の表面はマイナスに帯電していますが、電磁波や放射線、化学物質などの影響でプラスイオンが増えると一部の赤血球がプラスに帯電します。マイナスに帯電している時にはサラサラ流れていた赤血球でも、赤血球の中にプラスに帯電したものが増えるとプラスマイナスでくっつき合いが起こり、団子状に固まってしまいます。これをルロー状態といいます。こんな時には耳かき2~3杯の梅干しの黒焼きを葛湯に溶かして服用すれば、血液をサラサラの健康状態に戻すことができます。電磁波や放射線の被爆と思われる症状がある時に試してみるのも一案です。

 

 

 古くからの民間薬として用いられてきた梅干しの黒焼きは、科学的には未解明の部分も多いのですが、いざという時の常備薬として備えておくと大変便利です。ぜひ、日々の生活の中で活用してください。

 

「むすび」誌(正食協会) 2016年8月号 連載記事 文 岡部賢二