昨日、福岡市中央区の薬院駅のすぐ裏手に完成したマクロビオティック住宅のお披露目会に行ってきました。このモデルハウスを設計・施工したのは福岡工務店さんです。昨年、社員教育の講座に呼んでいただいたご縁で、ご招待を受けました。
おっぱい100番の平田喜代美先生、下関中央病院の医師で「アトピーは和食で治せ」の著者でもある永田良隆先生、古民家カフェHazeの平田優シェフ、助産師会の先生方など20名くらいの来賓の方々が出席されていました。
「マクロビオティック住宅」と名のつく建物としては全国初とのことです。マクロビオティックは長寿法と訳されることが多いのですが、それは単なる長寿法ではなく、自然環境と調和し、精神性を高めることで世界平和を目指すというような物事の根本・本質をとらえようという思想を含んでいます。マクロビオティック住宅の目指すものも「家族の本当の幸せや健康」です。
マクロビオティックでこれまで勧めてきた穀物・野菜を中心とした伝統和食も、50年前と比べると食材の生命力が低下し、食事療法だけでは病気が治りにくくなってきました。これからは、どんな作り方、どんな場所(土壌)で、どんな人が、どんな思いで作ったかという食材の質の吟味が必要な時代となりました。
日本は世界でも屈指の長寿国となりましたが、長寿の中身はどうかと言えば、認知症や寝たきり老人
が激増しており、健康で幸せな老後とは程遠い状況となっています。クウォーリティライフと言われるように長寿の中身がこれから問われていくでしょう。
それと同じように、住宅の場合もただ住めればよい、という世界から、心地よく、癒される家という新たな視点が必要になってきています。新建材によるシックハウス症候群や家電製品から発せられる電磁波被ばくの問題、都会での汚染された空気環境、ローンが終わるころには朽ちる耐久性のない作り、そうした問題をいかに解決するかということが住宅でも問われ始めています。
そんな状況の中で、マクロビオティック住宅というコンセプトが生まれました。70名以上にも及ぶ人達から理想の住宅とは何か、という質問を行い、そうした要望に対して81%答えることが出来たと設計主任の方が解説されていました。
マクロビオティック住宅の一番の特徴は高気密・高断熱で光熱費が65%まで削減できる点です。
それに加えて住宅内の空気には一番のこだわりがありました。世界で一番空気のきれいな場所が南半球に位置するタスマニア島だそうで、そこの空気よりもきれいな空気を供給するTACというシステムを導入していました。パソコンの画面から逐一空気の状態がグラフ化されて送られてきていました。
これは24時間換気の空調システムで、外気を浄化して取り込むトルネックスと呼ばれる装置(PM0.3まで95%カットできる)から送り出された空気を、さらに活性炭フィルターで臭いを取り去り、ビタミンCを強化し、それを心地よい温度に加熱して送り出すというものです。このおかげで、都会に居ながらに田舎暮らしをしているような空気感に包まれ、体が癒されるということです。
家の作りは京都の町屋をベースにしていて、玄関先から靴のまま入れるキッチンが吹き抜けの真下にあり、このキッチンを家の中心としてすべてが見渡せるという動線の作りとなっています。昔の古民家が囲炉裏を中心にして家族団らんしていた温もりのある家を再現されたとのこと。
使われた構造材の杉やヒノキは化学的な防腐処理の代わりに燻煙熱処理を施していて、化粧板も同じ処理をされているそうです。壁に張られたクロスは塩化ビニール製ではなく、布クロスを化学接着剤を使わず、でんぷん糊で張り付けています。
古民家の和のテイストに最先端の技術を加えることで100年以上持つ家に仕上がったので、こうした優良住宅は、申請すれば国の支援を受けられるだそうです。固定資産税の軽減や国による借り上げ補償を受けることができるとのこと。なんともうらやましい設計で、ビックリしました。