21.海の緑黄色野菜 食の効用ABC

21.海の緑黄色野菜

海の緑黄色野菜

 四面を海に囲まれた日本人にとって、昆布は最もなじみの深い海藻です。煮物や汁物のダシに必ず登場するのが昆布で、古くよりお祝いごとに欠かせない食べ物でした。
 最近の研究で、昆布に含まれる食物繊維の重要性や微量栄養素の効果がわかり、注目されてきています。特に昆布をはじめとする海藻にがんなどの生活習慣病を予防する優れた効果があることや、放射線などで傷ついた遺伝子の傷を修復する働きがあることもわかってきました。


 さらに昆布は、若い女性たちを悩ませている便秘や肥満解消のための美容食としても見直されてきています。


 “海の緑黄色野菜”とも呼ばれる昆布には、食物繊維やビタミンA、C、B₂、ヨード、カルシウム、マグネシウム、亜鉛など、生活習慣病を防いでくれる栄養素がたっぷり含まれています。
 昆布のぬめり成分の正体はアルギン酸という食物繊維ですが、水に溶ける水溶性の性質と、水に溶けない不溶性の性質の両方をあわせ持っている不思議な成分です。


 水溶性の食物繊維は、体内のナトリウムとカリウムのバランス調整をし、血圧を安定させてくれるので、高血圧の予防になります。


 また、水溶性の食物繊維は、糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を抑えるので、糖尿病の予防にもなります。一方、不溶性の食物繊維は、大腸がんの原因になると言われる過剰な胆汁酸を腸内で吸着して、排泄してくれます。胆汁酸はコレステロールから作られるので、結果的に脂質の代謝がよくなり、肥満の予防につながります。


 昆布にはヨードや亜鉛、コンドロイチンという成分も豊富に含まれています。これらの成分は、つややかな髪や爪、骨の発育に欠かせません。特にヨードは、甲状腺に取り込 まれて、新陳代謝を盛んにするホルモンの材料になり、血管を柔軟にして、高血圧や動脈硬化を防ぎます。また骨粗鬆症などの老化現象の予防にも役立ちます。
 昆布は山の幸である豆との相性が良いので、小豆昆布を食薬として用います。