22.野草の生命力で元気アップ 食の効用ABC

22.野草の生命力で元気アップよもぎ

野草の生命力で元気アップ

 早春の大地にはいろいろな野草が芽吹いています。野菜と違い、人の手を借りずに育つ自然の野草には生命力が旺盛です。昔から人々は、この早春の自然の恵みを食に取り入れ、体の中を浄化してきました。野草には消化を促進したり、胃腸の働きを整えたりする作用があり、体内の毒下しをしてくれることが広く知られていたからでしょう。


タンニンやフラボノイドの働き


 野草全般に共通することは、苦み成分のタンニンやフラボノイドを含むものが多いということです。今、赤ワインやココアの色素で、体のサビを止める物質(抗酸化物質)のポリフェノールが注目されています。タンニンやフラボノイドもポリフェノールの一種で、体の中でいろいろな悪さをする活性酸素を消去する働きがあります。加えてフラボノイドには、毛細血管を補強する作用もあり、心臓病や高血圧、動脈硬化など  

               の成人病の予防に効果が期待できます。


ヨモギの働き


 枯れ草のなかにいち早く緑色の姿を見せるのがヨモギです。この若葉を摘んで茹でて、餅に入れたのが草餅、団子に入れたものがヨモギ団子です。また、春の終わりごろ、ヨモギを刈って干し、これをよくもんで葉の裏の綿毛を集めたものがお灸の材料 でおなじみの「もぐさ」です。昔の人はヨモギの薬効を体験的に知っていて、体調の崩れやすい季節の変わり目に食してきたのでしょう。ヨモギは、止血剤とし ても用いられ、農作業などで切り傷をしたとき、ヨモギをよくもんで傷口に当てると血が止まるといわれています。
 陰陽で見ると、丸い大きな葉が陰性で、ギザギザのある小さな葉や産毛のある葉が陽性と判断します。また、地面にはいつくばっている葉ほど陽性です。この点、新芽のヨモギは陽性の特徴そのも ので、体を温めるため冷え症に有効です。また、緩んだ胃腸を引き締めるので、女性特有の便秘を解消する効果も期待できます。


ヨモギの薬効成分


 ヨモギにはビタミンやミネラル、酵素、食物繊維が豊富で、苦み成分のタンニンやフラボノイドを豊富に含みます。また、がんの発生を防ぐ天然の「インターフェロン」という成分が含まれています。中でも、カルシウムは牛乳の12倍もあり、カルシウムにもがんの抑制効 果があることから、インターフェロンと合わせてがん体質の人に有効に働くと思われます。また、生活習慣病の原因となる活性酸素を消す働きは、野菜や野草のなかでいちばんで、緑黄色野菜のブロッコリーと比べると百倍の力があるという報告もあります。
 ヨモギはこのように血液を浄化する働きが強いことから、「青い血液」ともよばれています。最近ではヨモギの粉末も売られていますが、焙煎してアクの処理をしっかりしたものを選ぶようにしましょう。


22.野草の生命力で元気アップたんぽぽ

タンポポの働き


 タンポポは北の寒い地方ほど多く自生しており、北に行くほど種類も多くなります。
北の寒い地方でよく育つ植物は陽性の性質が強く、タンポポはさらに根が地中深く真っすぐに伸び、また葉もギザギザなことから陽性の性質を備えています。タ ンポポのすばらしさは、葉から茎、花をはじめ値まですべてに薬効があることです。

とくにタンポポの根を天日乾燥し細かく刻んで焙煎したものは、煎じて飲むと消炎作用や解毒作用が高まります。普通のコーヒーは南方産で体を冷やしますが、タンポポコーヒーの場合は体を温めます。


タンポポの薬効成分


 タンポポの葉や茎を折っていると白い乳液が見られますが、
この汁を切り傷とか腫れ物につけるとよいといわれています。また、この白い乳液には母乳の出をよくするタラキシアチンやイノシットなどの成分が含まれています。

 タンポポには独特の苦みがあり、「良薬口に苦し」いわれる             

                   ように、この苦みが胃に適度な刺激を与え、胃の働きを活発に               

してくれます。食べ過ぎて胸やけがする、胃がもたれているというときにはタンポポコーヒーがおすすめです。タンポポの苦みはフラボノイドで、腸からの消化液の分泌を助ける作用や、胆汁の分泌を促し、肝臓の機能を助けてくれます。

 漢方では「蒲公英根」といって、おもに根を使います。働きとしては解毒作用や、むくみを取る働き、利尿作用、膀胱 炎や黄疸に効果があげられています。春の野草には冬場に体についた脂肪分を分解する働きがあり、夏場に適応しやすい体をつくってくれます。

 さまざまな野草を料理に活用し生命力いっぱいの体をつくってください。