日本人の乳酸菌 たくあん
漬物というと一番に思い出されるのがたくあんでしょう。昔はどの家庭にもぬか床があり、その家庭ならではの味を守っていました。
干した大根をぬかで長期間漬け込んだたくあんは、江戸時代から日本人の味覚として伝えられている伝統食品です。塩気と酸味が食欲を刺激し、食欲不振や体力の回復に役立ちます。
たくあんの薬効は、栄養豊富な大根そのものからもくるのですが、大根を漬け込むぬか床に秘められています。玄米を白米に精米する過程で出てくるのが「米ぬか」です。玄米の表皮と胚芽がぬかの正体なので、ビタミンやミネラルが豊富に含まれます。中でもビタミンB群やEが多いため、細胞の新陳代謝を促進し、肌を若返らせる働きがあります。
米ぬかの主成分であるセラミドは細胞間脂質と呼ばれ、表皮の細胞のすき間を埋める脂肪成分です。セラミドは肌のすき間に欠けている脂質を補い、肌の保湿力を高めてくれます。したがって、ぬか床で熟成させたたくあんは、肌荒れやにきび、アトピー性皮膚炎にもすぐれた効果を発揮してくれます。
ぬか床のもうひとつの効果は、そこに含まれている乳酸菌です。乳酸菌とは、糠を発酵させ乳酸などの有機酸を作り出す菌のことで、地球上には300種類ほど存在するといわれています。この乳酸菌は大きく分けて、チーズやヨーグルトなどにいる動物性乳酸菌と、たくあんやキムチ、みそ、醤油などにいる植物性乳酸菌に分けられます。
乳酸菌の働きは、食品に酸味を出しておいしくしたり、保存性を高めたり、香りを良くしたりします。また、整腸作用のほか、タンパク質やミネラルの吸収を良くするともいわれています。
中でも植物性乳酸菌は、動物性に比べて胃酸や胆汁に強いので、消化管を生きたまま通り抜けることができます。つまり塩酸(胃酸)という過酷な環境でも耐えられる強い菌(陽性)が植物性乳酸菌で、日本人に最適な菌なのです。日本の風土が生んだ乳酸菌源であるたくあんを一食2切れ程度食べ続けると、腸内環境が 改善されます。