長寿の泉 玄米
元気の「気」は、旧漢字では「氣」と書き、「活動の源泉となるもの」を意味します。日本人の元気の素は米ですが、同じ米でも、水に浸ければ腐ってしまう白米と、芽を出す玄米とでは生命力が全く違います。玄米は白米と違って栄養価の高い胚芽がついているだけでなく、外皮となる薄い膜で全体が覆われています。外皮は貴重な繊維質であると同時に、栄養素の質を損なうことなく、米の命を守り(抗酸化)、いつまでも新鮮に保つ働きをしています。
この玄米の外皮である糠(ぬか)に数々の薬効があることがわかってきました。玄米にはビタミンB₁が白米の約4倍含まれています。ビタミンB₁の最も重要な働きは、糖質(米の胚乳部)の体内燃焼作用です。B₁の欠乏は不完全燃焼をおこし乳酸などの酸性物質を生じさせるため、血液が食毒化して昔は脚気を引き起こしていました。現代では糖尿病やアレルギー、がんなどの生活習慣病の予備軍を作りだしています。
1998年に開催された国際シンポジウムで米糠成分のイノシトールやIP6が肺ガン、大腸ガン、肝ガン、乳ガンなどに有効ということが発表されて話題を呼びました。また、米糠成分のガンマーオリザノールには自律神経安定作用が、ニコチン酸(ナイアシン)には抗悪性貧血因子が、セルロースやフィチン 酸には腸内細菌の活性と便通を整え、有害物質を排泄する働きが認められています。
玄米の力強さの源はその生命力(酸化防止力)です。玄米の表皮が中身のでんぷん質、脂質、その他の変質を防いでいます。空気の酸化の影響を受けずに炊かれた玄米は、消化されて赤血球に発展していきます。この赤血球の生命力が強い(質が良い)ため、燃焼の良い体が作られます。したがって、少しの玄米で頑強な体が維持できるのです。この赤血球が肺胞に循環してゆくと、空気中の酸素を引きつける力が強いので、全身の細胞活動が活発になり生命力がみなぎっていきます。
玄米はヒトに必要な栄養素をほぼ全部含みます。ヒトの命の根源が玄米なのです。