老化防止の長寿食 そば
秋が深まると新そばが出回ります。冬が来て寒くなる前に体を温め、体力をつけるそばができるのは自然の恵みのおかげです。
そばは千年以上前の歴史を持つ良質の穀類として、日本人の暮らしに深く結び付いてきました。
どんなにやせた土地でも、寒冷地でも栽培ができ、短期間(75日)で結実するため、飢饉対策にも利用され、人々の命を支えてきました。
また、そばはバランスのとれた栄養食で、製粉の仕方で成分に多少の差はありますが、良質のデンプン質やタンパク質、食物繊維、ミネラル、タンパク質や脂肪を分解する数々の酵素などを含んでいます。そばのデンプン粒子は非常に細かい(陽性)ので煮えやすく、消化が良いです。したがって、米やほかの穀類のように長時間煮なくても食べられるのが特徴です。
また、そばにはビタミンB1やB2が米や麦の2~3倍含まれ、白米食やラーメン食に不足しがちなB群を補ってくれます。これらのビタミンは食欲を増進させ、イライラする神経を鎮め、疲労感やいねむり、物忘れをなくしたり、口内炎、脱毛や爪のまわりのささくれなどを防いでくれます。
また、そばは、ビタミンの一種であるコリンも含み、コレステロール代謝を改善することから脂肪肝や肝硬変を防ぎ、肝臓をいたわり、強化する働きをもっています。
そばの一番の特徴は、血管を丈夫にするルチンという成分を含むことです。ルチンはビタミンCの研究過程で発見され、はじめはビタミンPと呼ばれていまし た。その働きは毛細血管を強くし、動脈硬化を予防してくれます。さらにビタミンCと協力してコラーゲンを活性化して血管や細胞を若々しく保ったり、脳梗塞や心臓病、高血圧を予防してくれます。
ただし、ルチンは水に溶け易く40%近くが湯で汁の中に流れてしまうので、そば湯を飲むことをお忘れなく。そばにはビタミンCを含む大根やネギが薬味として最適です。
そばを常食する地方には長寿地域が多いと言われています。ぜひ、健康長寿食の食材そばを食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。