冬の土用の過ごし方

年末から年始にかけてご馳走続きで胃腸が疲れたという人が多いかと思います。12月の忘年会にクリスマス、年明けのお正月から新年会と、会食が続くます。それと同時に食べ物を消化する胃腸の負担も増えるのです。ちょうどそんな時に冬の土用が到来します。

 2月4日の立春の前の約18日間を冬の土用といいます。寒さに弱い腎臓の疲れと胃腸の弱りから慢性病が悪化しやすい時期でもあります。インフルエンザや風邪が流行る時期ですが、婦人科の疾患や内分泌系のトラブルをかかえている人には特につらい頃かもしれません。食べたものが胃腸の中で腐敗しやすいのが土用なので、食べ過ぎにはくれぐれも注意してください。プチ断食を心がけると調子が上がり、感染症の予防にもなります。

腎臓の経絡「腎・膀胱系」は温めることで働きを増します。そこで、外からは「こんにゃく湿布」といって、こんにゃくをお湯で20分くらい煮て、それをタオルで2~3重にくるんで腰に当てる手当てをすると血行がよくなり、腎の働きを高めることができます。足腰の水の循環と夜の時間を管理しているのが腎なので、寝る前に足湯や腰湯、半身浴で下半身を温めると良いです。そうすると、ぐっすり眠ることができるだけでなく、寝ている間に腎から出てくる若返りホルモンの分泌が増え、老化を予防することができます。湯たんぽで足を温めるのもよいですね。

 体の中から足腰と腎臓を温めてくれる食べ物が根菜類です。冬場に旬を迎える大根やレンコン、ごぼう、人参、自然薯といったナトリウムを多く含む根菜類を煮炊きして食べると体が温まり、腎の働きも良くなります。特に遠赤外線を出す土鍋を使って煮炊きしたものは、お腹の中から体を温めてくれます。遠赤焙煎したゴボウ茶やたんぽぽコーヒーといった植物の根を配合した飲料を飲み続けて冷えが解消した、という人もたくさんいます。

 

2014年1月4日の記事です。

 根菜の中でもクズのでんぷんは体を温める力が強く、胃腸病全般や風邪の予防薬として昔から葛湯がこの時期に活用されてきました。子供の風邪なら葛湯だけで治るケースが多いです。お腹が温まると自律神経も安定します。副交感神経(リラックス神経)はお腹を温めるとスイッチが入るようで、クズを使ってお腹が温めてあげると、全身の緊張がやわらぎ、抹消の手先・足先までポカポカしてきます。寝る前に飲めば、不眠症の改善にもなります。過緊張からくる喘息やてんかん、狭心症の予防薬としてもクズはおすすめです。

また、普段飲みなれているコーヒーは、ブラジルやペルーといった南国が原産地なので、陰性なカリウムを多く含むため体を冷やしますが、腎の食薬である豆や穀物を焙煎した穀物コーヒーの場合は、体を芯から温めてくれます。うずら豆を焙煎した「うずら豆コーヒー」は、腎を温め、内分泌の働きを高めるイソフラボン(植物性エストロゲンといわれる女性ホルモン様物質)を含むので、コーヒー代わりにおすすめのドリンクです。飲むと体が中からジワジワと温まるのがわかります。不妊症や生理不順などの方におすすめです。
冬場は、果物や甘いものを控え、体を温める対策で元気に過ごしましょう。